しかし、躊躇している暇はない。
上手くいくかどうかの確認なんて、後回しだ。
やるしか…ない!
翼は、噴水に向かって真っ直ぐに走った。
周りに生えている苔や藻で、今にも足を滑らせてしまいそうだ。
だが、鬼の足音と殺気は、すぐ後ろまで迫っている。
スピードを緩めることはできない。
「…っ!」
やはり、練習用のシューズは滑りやすい。
翼は、苔で右足を滑らせ、バランスを崩すも、左足を踏ん張り、なんとか持ちこたえる。
噴水まで、あと数歩だ。
耳に鬼の息遣いが纏わり付いて、恐怖を煽る。
今にも、あの鋭い爪に引き裂かれてしまいそうだ。
ようやく噴水までたどり着いた翼は、噴水の周りを囲うコンクリートに足を掛けた。
そして、思い切り踏み切った。


