中庭に出た瞬間に目に映ったのは、真中にどんと構える噴水だった。

シャワシャワと静かな音を立てながら噴き出す水は、時たま囲いに入り切らず、周りの芝生は湿り気を帯びている。


角膜がその映像を映し出した瞬間、翼の頭は先程までの鈍さが嘘のように、カッと目覚め、驚くべき速さで回転した。

そして、コンマ数秒後には、翼の頭に、打開策と言っても過言ではない、この窮地を乗り切る名案が浮かんだのだ。





―…これなら、いける!





中心の筒と、その周りの4つの球体のオブジェから噴き出す水。

それを貯める、半径3メートル程のコンクリートでできた池。

更に、コンクリートの池に収まり切らなかった水が湿らせた芝生と、そこから僅かに侵食を始めている苔や藻類。


これらを上手く使えば、どうにか鬼を撒けるかも知れない。




あくまで、上手くいけば、なのだが…