《ガスッ、ガスッ、ガカン!》
鬼が階段を上り終えたことを耳で感じ取り、翼は更にスピードのギアを上げていく。
…が、やはり、いつものように、スムーズなギアチェンジが出来ない。
焦って一気にギアを上げたせいで、呼吸がついていかない。
リズムが定まらず、安定したスピードを保てない。
焦りと恐怖で全てが空回りし、悪循環の渦へと引き込まれていく。
「ハッハッハッ―…!」
今までの練習ではかつてない程に、呼吸が浅く速い。
いつまで持つのだろうか…
翼の頭に、ふとそんな不安が差す。
ギアは無視し、とにかく全力で走っているこの現状。
やみくもに走るのは、初めてだった。
いつも、頭にはペース配分がインプットされており、翼はその通りギアを置き、呼吸を繰り返していたからだ。
俺の全力は、どれくらい持つんだ?
ただ走っているだけじゃ駄目だ。
きっと、すぐに追いつかれる。
何か…
何か打開策を考えないと…!


