「遅い!笛が鳴ったら10秒以内に集合だと言っているだろう!」
三人が、グラウンドの真ん中、赤いラインが入った黒のジャージを着ている鬼城の周りに集まると、いきなり怒声が飛んできた。
「はい!すみません!」
いつもはお調子者で、ニヤニヤしている颯太も、この時ばかりはキリリと表情を引き締める。
翔もそれに同じだが、翼だけは違う。
いつも鬼城を、目の敵だと言わんばかりの形相で睨んでいる。
その憎しみにも似た視線に気付いた鬼城は、翼を睨み返す。
「なんだ、その目は!お前も謝らんか!」
しかし、口を開こうとしない翼に、颯太が鬼城に聞こえないように小さな声で注意する。
「おい。謝っとけって。」
「…すみません。」
しばらくして、ようやく一言呟くようにして翼が謝罪の言葉を言う。


