「お前達は昨日、ルールを破った。」



鬼城の、低くねちっこい声が、部員達の耳に纏わり付くように届く。



「私語は慎むというルールを、な。」



不意に鬼城と目が合った部員が、ヒッと小さく悲鳴を上げて、肩を縮こまらせた。

鬼城は、その様子を、テーブルに乗っている極上の料理でも見るかのようにしばらく眺め、心の中で舌なめずりをする。

その間の静寂に、目を付けられた部員は、更に肩を縮こませ、ぶるぶると震える。


すっかりそれを堪能し、満足したらしい鬼城は、視線をその部員から再び全体に戻し、じっとりと一人一人を見渡していく。



「ルール破りには、罰則を。それは、当然のことだ。反抗的な態度をとるような愚か者を、出さない為にもな。」



そこまで言うと、鬼城はチラリと翼の方に視線だけをやった。