「本当…なんだな。」
しばらくして、颯太が、現実を噛み締めるように呟いた。
翼は何も言わずに、ただ頷く。
「鬼城の奴…まじかよ…」
握った拳を額に当て、苦しげに顔をしかめる颯太。
そして、ぽつりぽつりと胸の内を明かし始めた。
「俺…本当はみんなどっかに捕まってるんじゃとか、これは夢なんじゃないかとか、心のどっかで思ってた。」
「俺も、この部活が始まったばかりの頃は、そう思ってた。」
誰だって、急に突き付けられた現実は、受け入れ難いものだ。
ましてや、残酷極まりない現実ほど、理解するには時間も勇気も必要となる。
「けど……だけど、違うんだな。これは現実で、みんなは……」
そこで言葉を詰まらせた颯太は、耐え切れずに下を向く。
目に映るコンクリートは、夜の闇をしんしんと吸い込み、街灯の明を浴びて冷たく光っていた。


