「翼、帰ろうぜ。」



部活動終了後、着替えを済ませた翼に颯太が声を掛けてきた。

翼と颯太の家は同じ方面にあり、いつも途中まで一緒に帰っているのだ。



「あぁ。」



翼は短く返事をすると、荷物をかばんに押し込み、もうすでに部室の外に出て待っている颯太の元へと駆け寄った。

辺りはもう、夕日を追い込むようにして闇が支配を始めている。



「今日はまじで良かったな。」



帰り道を歩きながら、颯太が話を切り出す。



「そうだな。」


「全員が生き残ったってことは、俺達かなり実力がついてきたってことじゃねぇかな?」



颯太は自信ありげにそう言ったが、翼の表情は暗かった。



「…それは違うかもしれない。」



翼がそう答えると、颯太は不思議そうな顔をする。



「なんでだよ?鬼から逃げ切れる実力者が残ったから、もう捕まる奴がいなくなった。つまり、ふるいにかけられた選抜メンバーだけ生き残ったっていう訳じゃねぇのか?」



俺はそう思ったんだけどよ…、と小さく付け足すと目線で翼の返事を促した。



「そうかもしれない。でも、違う気がするんだ。」


「理由があんのか?」



颯太が首を傾げてたずねた質問に、翼は慎重に言葉を選びながら答えを絞り出すようにして喋り始めた。