「よう、翼。今朝の調子はどうだった?」
翼に真っ先に声を掛けてきたのは、同じクラスの遠藤 颯太(エンドウ ソウタ)。
黒髪短髪の爽やかスポーツマンタイプという見た目に反し、中身は噂好きのお調子者だ。
「スイッチ入ったから、楽勝だった。」
「まじかよ。ラッキーだな。」
遠藤 颯太はそこまで言うと、急に声を落として続けた。
「…おい、知ってるか?川瀬 鳴海やられちまったらしいぜ。」
「あぁ、俺の後ろでやられてた。」
「げっ。お前、シカトして走り続けたのかよ?」
「まぁな。」
「冷徹人間 翼くんだな。」
「なんだよ、それ。颯太だって、どうせ見捨てただろ?」
「当然。奴に捕まったら最後。助かる訳ねぇよ。」


