「おーい、翼!こっちこっち!」



グラウンドへ出ると、すでに到着していた颯太が手招きをしながら声を掛けてきた。

翼は、練習前と全く変わらぬ颯太を見てようやく肩の力が抜けた。

そして、ゆっくりと彼の方へと歩いて行く。



「颯太、無事だったんだな。」



先程までの不安の余韻からか、開口一番、思わずそんなことを口にしていた。

そんな翼を、颯太は不思議そうな目で見る。



「翼が俺の心配するなんて……明日は雪か?」


「そうかもな。」



いつも通りの颯太に、翼は、さっきの出来事は悪い夢だったかのように思え、心の底から安心し、思わず微笑んだ。

しかし、事情を知らない颯太は更に驚いた表情になった。



「翼が俺のボケにツッコミを入れない!?しかも今…微笑んだ!!?」



自分の両腕を抱え鳥肌を抑えるようにして身震いする颯太を見て、翼は自然と口角が上がるのだった。