ヒュッ―…


という風を裂く音を耳にしながら、螺旋階段の隙間を下へ下へと落ちていく。

上手い具合に柱や階段に当たらず、間を縫うようにして降下する。



…―よし。



翼は心の中でそう思ったが、それは決して安堵の意ではない。

次の段階に移るという決意だ。



三階建ての校舎の中腹まで落ちた翼は、着ていた長袖ジャージの右側だけを脱ぎ、腹の辺りに右腕引っ込ませる。

そして、空になった右側のジャージの袖を螺旋階段の柱にくるりと回し掛け、反対側に出たそれを左手でしっかりと握る。

さらに、柱から体を反らすようにして体重をかけ、足で柱を蹴るかたちで徐々に速度を落としていく。



ズザザザー…!



ジャージが柱に擦れる音と共に、降下する速度が緩まる。