とにかく逃げることを優先しつつ、なにか良い案はないかと、恐怖と焦りが入り混じる頭で考える。
そんな翼の目に飛び込んできたのは、特別棟の突き当たりにある非常扉だ。
翼は、その扉を見た瞬間に、名案が浮かんだ。
これこそ、窮地から脱出する希望の扉だと思った。
ガスッガスッガスッ!
だいぶ近づいている鬼の足音を聞き、手が汗ばむ。
チャンスは一度きりだ。
失敗すれば、死ぬ。
大丈夫。
毎日通っているのだから、高さも幅もきちんと分かっている。
大丈夫だ。
翼は自分に言い聞かせると、手を伸ばし、非常扉のドアを手際よく開く。
ドアを開くのにもたつくという最悪の事態を免れた翼は、ほんの少し安堵する。
しかし、すぐにもとの緊張感のある表情に戻る。
非常扉を抜けたそこには、校舎に這うようにして造られた螺旋階段がある。
翼はその階段を一瞬じっと見つめ、覚悟を決めた。
そして、ぐっと脚に力を込め、螺旋階段へ…
飛び込んだ。


