鬼は、響子から教えてもらった通りのものだった。
ゆうに2メートルはある巨体は、学校の廊下を酷く窮屈に見せた。
口は大きく裂け、そこからは黄ばんだ牙が覗き、目は長いぼさぼさの髪に隠れていたもののぎらぎらと光り、その両方と翼は目が合った。
ガスッガスッガスッ!
鬼は、やはり翼を追って来る。
鬼の走る音は独特で、よくわかった。
強靭な肢体とその先に付いている鋭い爪で、廊下を引っ掻くようにして走るからだ。
翼は、とにかく全力で走った。
乱れたリズムを無理矢理に持ち直し、スピードのギアを上げ、鬼との距離を保つ。
幸い気づくのがはやく、一瞬の内に捕まるということはなかったが、鬼は確かに後ろに迫っている。
翼は、先程見た鬼の長い手足を思い、さらにギアを上げていった。


