―…牧野 翼。
鬼城は、翼を要注意人物として目をつけていた。
なぜなら翼は、部活に向かうときはもちろん、学校中の生徒に恐れられている鬼城を前にしても、決して怯むことがないからだ。
いつも負けじと鬼城の目を真っ直ぐに見て、睨みをきかせている。
部活に行くときもそうだ。
校舎に向かって歩く表情に、恐怖の念は全く伺えない。
鬼城は、そんな翼を生意気だと思ったし、また、つまらないと思った。
あるいは、至極たまにだが危険だとも感じていた。
生徒の分際で、教師に歯向かいやがって…
なんだ。
つまらん。
もっと恐怖におののく表情を見せろ。
この勢いだと、反抗勢力など作るのでは…
翼が反抗的な態度を見せる度に、鬼城はそんなことを思っていたのだ。


