「こうすれば、脚が緊張せずに走れる気がするんだ。」



スッと立ち上がり、響子を見る。



「ジンクス…か。」



響子は俯きながらそう呟くと、掌をギュッと握り、何かを決心したようだった。

そして、顔上げて翼と目線を合わせる。



「ありがとう、牧野くん。わたし、今日の放課後練習で試してみるね。」


「別に。俺はなんもしてないし。」


「ううん。牧野くんのお陰で、上手く走れそうな気がするの。だから、ありがとう。わたし、頑張るね。」



響子はそこでニコリと笑うと、一度区切りをつけてから、翼にスッキリとした顔を見せて、



「…昼休み終わるから、そろそろ戻るね。話聞いてくれてありがとう。部活、頑張ろうね!」



と言いうと、小さく手を振り、屋上を去っていった。