「皆川だって、この練習を乗り切れるよ。」



翼が力強い声でそう言うと、響子は驚いて目を丸くする。



「私が…?」



コクリと翼が頷くと、さらに信じられない、といった表情になる。



「だって私、牧野くんみたいに、大会で1位を取ったことも無ければ、入賞したこともないんだよ?まさか…」


「皆川は、まだ記録を出せてないだけだ。緊張せずに走れたら、絶対勝てる。」



響子は確かに実力があるのに、大会になると、極度の緊張で思うように走れていない。

そんな彼女を、翼は以前からもったいないと思っていた。



「でも私、あの本番の雰囲気が苦手で、どうしても緊張しちゃって…。最近の練習でも、鬼が理由で、緊張して上手く走れないの…。」



そう言う響子の顔は、不安げだった。