もはや翼の抱いていた薄い望みは消え去ったが、響子は続けた。
「口が大きくて、それで…その口で…っ…鳴海ちゃんを…。」
ただでさえ青白かった響子の顔が、さらに白くなり、泣き出してしまった。
鳴海がその後どうなったかなど、聞かなくても容易に理解できる。
泣きじゃくる響子を見て、川瀬鳴海がこの世にいないという現実を再び強く押し付けられたような気がして、翼の胸に小さな痛みが走った。
それを堪えるように唇をきゅっと噛むと、困った顔で響子の頭をそっと撫でた。
しゃくり上げる彼女を見て、どうにかしてやりたいと思ったが、頭を撫でる以外、どう慰めればいいのか分からなかったからだ。
翼は、何もしてやれない自分が不甲斐なく思え、必死に慰めの言葉を脳内に並べたが、やはり彼女の頭をできるだけ優しく撫でるということしかできなかった。


