「今日の朝練でね、私、見たの。…鬼の正体を。」



響子の口から出た言葉に、翼は驚く。



「本当に!?鬼の正体がわかったのか?」



翼の問いに、響子はコクリと頷く。


鬼城は、依然として自身が言った“鬼”の正体を明かそうとはしなかった。

練習時は、後ろを振り返っている余裕がある筈もなく、鬼城の言う鬼の正体など知る由もなかったのだ。


今まで謎に包まれていた、鬼の正体が遂に…



「それで、何だったんだ?鬼の正体は。」



翼が急かすように言うと、響子は不安げに再び人気の無いことを確認してから、言いにくそうに話した。



「それが…その…、鬼…だったの…。」


「えっ?どういう…」



訳がわからないといった風に翼の絞り出した言葉を遮り、響子は続けた。



「信じてもらえないかもしれないけど…。でも…でも!ほんとに…鬼だったの…。」