「……俺は、リーダーにはなれないな。」




沈黙の中、誰に向けるでもなくぽつりと放たれた言葉は翼のものだった。




「颯太が多数決を持ち出すまで、どうやってあの場の全員を言いくるめて、作戦を続行させるかばかり考えてた。嘘をついてでも、って。最低だよな……。」




自嘲気味に口端を上げると、一度斜め下に目線を彷徨わせたが直ぐにまた向き直り、ぼんやりと廊下の先を見つめる。





「もう、綺麗事だけじゃ誰も付いてこない。みんな、全員が助かる方法なんて無いんじゃないかって思ってる。……そうだと思う。このまま人数が減って、狙われる確率が上がって、最後には全員……」




その瞬間、左頬にバチン!と鈍い痛みが走った。




「……?!」




訳が解らずらじんわりと痛む頬に手を当て、目をしばたたかせる。





「言うな!」




「え?」




「お前だけは、それを言ったらダメだろうがよ!」




あの颯太が肩をいからせて声を荒らげている。

頬の痛みよりも何より、その姿にさらに衝撃を受ける。