「多数決ね〜。」
木崎は表情はそのままに、指で鼻をぽりぽりと掻いた。
「いいんじゃない?このままじゃ何も進まないしね〜。」
その視線は時計を見ていた。
確かに、昼休みは限られている。
「決まりだな。挙手でいいよな?」
誰も何も言わない。
颯太は翼と響子を見たが、翼だけが静かに頷いた。
「それじゃ、続ける事に賛成のやつ。」
パラパラと控えめに手が挙がる。
木崎以外のリレーメンバー全員と翼を含む数名だ。
「オッケー。じゃ、反対のやつ。」
残り全員が手を挙げていた。
分かりきっていた事だ。
誰しも他人の為に自分の命を懸ける事に肯定的な筈がない。
天敵が食いつく餌の近くに、わざわざ近寄る方がおかしい。
颯太は皮肉な笑みを浮かべると、ぱんっと手を叩いた。
「よしっ!じゃ、作戦は終わり。また各自で逃げ切れっつう事で!」


