「……ない。」
少しの沈黙の後、翼は振り絞るように一言吐き出した。
「じゃ、どうするんかね〜?」
その言葉に、今度は本当に何も言えなくなり、黙り込む。
木崎は別に意地悪をしている訳では無い。
ただ、自分が生き残る道があるのかどうかを吟味しているだけだ。
そして、このリーダー達にこのまま従い着いていくべきか否かを押し図ろうとしているのだ。
「多数決にすれば?」
カランと乾いた鈴が転がり鳴るように、突然静寂の中に言葉が放たれ、その場にいる全員が声の主を探した。
「いい案が無いなら、とりあえず今やってるやつを続けるか止めるか、だろ?どっちにするか多数決で決めようぜ。な!翼!」
そう言って翼ににっかりと笑いかけたのは、ほかでもない颯太であった。
一番後ろで机に腰を下ろし、全体を眺め下ろすようにして彼は部員達の表情や動きを見ていた。