響子は何も言えず、俯いて押し黙ってしまった。





「……そうだ。奴らはリレーのメンバーを狙っている。」






翼がきっぱりと言い切ると部室が僅かにざわめいた。







「恐らく地区予選で結果が良かったからだと思う。きっと、鬼城が言っていた褒美をゲット出来る可能性が高いからだ。」






「なるほどね〜。」






「ただ、一つだけ朗報もある。つまりは、褒美は確かに俺たちにとって褒美だと言うこと。鬼城がリレーメンバーを潰しにきているのがその証拠だ。」







あの鬼城のことだ。

褒美という甘い言葉で包んだ爆弾を寄越してくるのではないかと訝っていたが、ここ最近の鬼の動きを見る限りどうやら本当に翼達にメリットのあることらしい。







「でもさ、それが分かったところで現状、打開出来る策がある訳でもないよね〜?」







木崎の核を突いた言葉に何も言えず、再び部室が静まり帰る。