「さて、これからどうするか……だ。」






翼はホワイトボードの前に立ち、部員達を見回した。

時は昼休み。

それぞれに弁当やパンを片手に男女両方の部員が男子部室に集まっていた。







「今朝の練習で犠牲者が一人だったのは不幸中の幸い。このままじゃ、放課後練は酷い結果になる。作戦を練らないと。」






「ちょっと待ってくれ〜。」






のらりと手を上げたのは木崎だった。






「作戦を立てても、俺らリレーメンバーは絶対狙われるんじゃないの〜?ね?狙わてんでしょ?皆川さーん。」





柔らかい口調ではあるが棘を含んだ声音でそう言うと、翼の横に並ぶ皆川を見てにやりと笑った。






「……たぶん。狙われると思う。」






「たぶんじゃないよね〜?実際、朝練じゃ森が機転利かして俺を呼びに来なきゃ、あんた死んでたよね〜?」






そう。

あの時、木崎が来たのは偶然ではない。

翼の「あと一人で木崎だ!」という声を聞いた森がもしやと思い木崎に助けを求めに行ったのだった。


それを知っている木崎や森には、完全に鬼の狙いがバレてしまっている。

言い訳も誤魔化しも通用しない。