「行くぞ!」
「うん!」
翼が手を掴んで一緒に逃げてくれる事が余程嬉しいのか、響子は顔を明るくさせて大きく頷いた。
立ち上がると、鬼に背を向けて兎に角ひたすらに走った。
鬼の手の届かぬ所まで進まねば、すぐにでも奴らは自分達を八つ裂きにするだろう。
後ろを振り返る余裕など無かった。
「ハッハッハ!」
どれくらい走っただろうか?
後ろに鬼の気配はするが、先程の殺気は息を潜めていた。
ただ、翼達の背後をじりじりとしつこく付きまとっている。
「ハッハッ!大丈夫か?」
「ハッハッ!……ッハァ!うん。」
返事は返すが、繋いだままの手がなんとか彼女を繋ぎ止めていた。
そして、次の階段が目前に迫った。
そろそろ木崎に追いつくだろうか?
そんな甘い考えが過ぎったが、希望は転んでしまえば絶望にころりと変わってしまうものだ。


