顔が分かる距離まで近付くと、翼が何か言うよりも早く向こうから声を掛けてきた。
「翼!翼だろ?」
「颯太!」
「大変なんだ!鬼が!皆川を!」
あぁ、最悪だ。
嫌な予感はしていたが、前を走る皆川のその更に前の颯太がここに居るという事はそういう事の他無いのだ。
やはり、鬼は皆川を狙っていた。
「俺が囮なのに鬼が!俺……ちゃんと……!」
混乱しているのか、いつもより大きく忙しない手振りで収拾のつかない言葉を羅列する。
「わかってる!俺の後ろに今井がいるから話はあいつに聞いてくれ!俺は皆川を追う!」
「は?ちょっ……翼!」
言い終わるが早いか、翼は再び全速力で走り出した。
走る中で、追いついてどうすれば助けられるかを考えた。
まず、どうして自分や颯太はターゲットにならなかったのか。
あのリーダー格の鬼はずっと自分を狙ってきていた筈なのに……
何故、今井を無視して高橋だけを確実に仕留めにきたのか。
高橋の次は皆川……
2人の共通点はなんだ?
もし、皆川から注意を逸らせるとしたら誰だ?
皆川以上……いや、皆川と同等でいい。鬼が狙いを定めるとしたら……


