仄暗い廊下を全速力で走る。
早く!もっと早く!
皆川がもし全速力で走っていたとして、今から追いつくのにはどれぐらい掛かるのだろうか?
いや、余計な考えに意識を傾けるのも勿体ない。
今はただ全神経を集中させて、一分一秒でも早く追いつかなければ。
「ハッハッ、ハッハッ!」
嫌な予感がする。
きっと皆川が危ない。
どれくらい走っただろうか?
数分の様にも感じたし、数十分の様な気もする。
腕時計をみると5:25を示していた。
スタートから25分、鬼に遭遇してからは10分といったところであろうか。
遂に廊下の先から微かに足音が聞こえた。
耳をそばだてると、どうやら人間の足音、それも1人のものだった。
「皆川!」
思わず叫ぶと、前を走る足音が一度ハタリと止んで、今度はこちらに向かって走り出した。
翼は腕を一層強く振って走る。
そして、ぼんやりとした廊下の先にゆらりと人影が見えた。


