「わかった。俺一人でなんとかする。今井はそのまま走って皆川にこの状況を伝えてくれ。」




「……わかった。すまん……!」





今井は自分の弱さが情けなくて悔しい様子で、顰めていた顔に更に皺を寄せた。



階段は目前に迫っていた。





「急げ。高橋より先に階段を通り過ぎないと!」




こくりと一度頷いて、今井はぐんとスピードを上げた。

翼から離れ、階段の横をすり抜けようとした瞬間であった。






ーーゴドン!!





階段から飛んできた何かが、廊下を横切り教室の窓に鈍い音を立ててぶつかった。

それが眼前を通った瞬間、顔に生温い液体が掛かる。




「……え?」





何が起きたのか分からず、今井は反射的に音のした方を見る。

窓に打ち付けられた物体が、ちょうど真っ赤な水を滴らせながらズルリと滑り落ちていくところで、ボドンと最後に質量のある音を立てて落ちた。


それは腕であった。


指がまだ微かにピクピクと痙攣している。






「う、うわぁぁぁあ!!」