ほどなくして、今度は確かに叫び声が聞こえた。
恐らく2つ前を走る男子部員の声だ。
翼はいよいよかと身構えて、注意深く走る。
ハッハッハッ……っ……!ハッハッ!
聞こえてきた息遣いが妙に切羽詰まったような乱れ方をしている事に気付き、心臓がざわりと波立った。
なにか、起こっている。
一瞬で考えつく限りの事態が脳内を駆け巡り、それらへの対処方法を捻出する。
誰かが殺られたか、裏切ったか。
鬼が増えていたのか、減っていたのか。
鬼城のあの妙な行動と関係ある何かがきっと起きている筈なのだ。
一体なにが……。
「翼っ!!」
全力疾走して来たのであろう、息を切らした部員がまだ遠い距離から大きく叫んだ。
「大変だ!高橋が!」
声を張り上げ、そう叫ぶ。
翼は、その言葉と彼が後ろを全く気にしていない事から大体の事態を予測した。
最悪だ。
この作戦は失敗する。
下手を踏めば、せっかく協力し合える信頼を築けた部員達が再びバラバラになってしまう。


