「捕まった者には…
死んでもらう。」
その言葉を聞き、体に雷でも落ちたかのような衝撃が走ったのを、翼は今でもよく覚えている。
そして、言葉の意味をよく飲み込んだ瞬間に、じわじわとはい上がるように全身を侵食し始めた恐怖心も…
「また、本日以降の退部は認めない。以上。明日の朝5時にグラウンド集合だ。」
追い打ちを掛けるように、見事に逃げ道をも塞いだ鬼城は、仕事を終えた満足感にでも浸るようにニヤニヤと笑っていた。
「返事!」
鬼城の怒声に、部員全員が反射的に、
「は、はいっ!!」
と、精一杯の反応を示した。
むろん、頭の中では全て理解できている者などいる筈もなく、殆ど無意識にYesという答えを出してしまったことを、後にどれだけ後悔しただろうか…
だが、全てはもう遅かった。


