「そういや、皆川も変わったよなぁ。まさかあんな大演説が聞けるなんてな!」
「確かに!昔じゃ考えらんねぇよ。」
「あいつも一応、副部長だったんだな。」
茶化すように誰かがそう言ったが、他の部員達もほとんど同意の様だった。
少し間をおいて、翼が話を続ける。
「あとは、みんなが信じて走ってくれたから。だから生き残れた。みんなのお陰だ。ありがとう。」
深く頭を下げると、ポンと肩に手を置かれて顔を上げる。
颯太だ。
「どういたしまして?」
ニヤニヤとお調子者顔で、翼の肩を更にポンポンと叩く。
「絶対エースの完璧人間翼くんにここまで言われたら、明日からも頑張るしかねぇよなぁ!なぁ、みんな!」
「おう!」
「だな!」
「頑張らない理由がねぇよ!」
「よっしゃぁ!んじゃ、明日の朝練も頑張っぞー!!」
「「「おぉー!!」」」」
颯太の掛け声に部員達は拳を高く突き上げて応えると、場の一体感がより高まった。
今までの不安や恐怖、部員同士の疑心暗鬼、そういった暗い感情が吹き飛び、自信や信頼、希望といった明るい感情が次々と湧き上がり、本当に何にでも適いそう気分であった。
ただ、この状況を良く思っていない人物が彼らをそんな気持ちのままにしておく筈がなかった。