《キーンコーンカーンコーン》
錆び付いた鐘がぎこちなく鳴り響いた。
辺りの輪郭がはっきりとし、夕暮れと夜の中間の温かみのある陽射しが窓から差し込む。
あれから予想通りもう一度鬼の引き付け役が回ってきたが、何事も順調であるように見えた。
翼は逸る気持ちを抑えて、スピードを徐々に落としてダウンをとる。
自信はある。成功しているに違いないと。
誰も犠牲になってはいないだろうと。
しかし、はやく確かめたい。
確かめて、みんなでその喜びを分かち合いたい。
早歩きでグラウンドへの道を行くと、先を歩く人物が見えた。
「皆川!」
翼の声にパッと振り返った響子の顔はすっかり顔色が良くなり、呼吸も落ち着いていた。
「牧野くん!よかった、無事だったんだね。」
「あぁ。皆川も。」
「うん!……ねぇ、これってもしかして?」
期待している分、口に出すのが怖いのか響子はそこで言葉を濁したが、ほとんど確証しているような素振りだ。
「たぶん。」
翼は珍しく表情を崩して、口元だけを柔らかく笑わせた。
響子の顔はさらに明るくなる。
「行こう!はやくみんなに会いたい!」
弾んだ声でそう言う響子を見て、翼も期待せずにはいられない。


