それからは静かなものだった。



本当に鬼などいるのだろうか、もはや他の部員達すら何処かへ消えてしまったのではないかという程に悲鳴も足音も何も聞こえてはこない。

まるで、自分だけがこの空間に隔離されているかのようだ。




翼は階段を上がった後、ペースを落とし呼吸を整えた。

そして、注意深く次の階段を下りると、スタート時と同じスピードで再び走る。

これで鬼の後ろ、もしくは皆川の後ろに回れている筈だ。

恐らく、先程の部員も自分の後ろに戻って来ている。









腕時計を見遣ると、17:50の文字が読み取れた。

このペースだと恐らく、もう一度鬼の引き付け役が回って来るだろう。







翼は背中に意識を集中させつつ、薄暗い廊下を駆け抜けていった。