心臓が、キリキリと引き締まる。

緊張と期待と不安と、いつも以上に複雑な感情に身体がむず痒くなり、翼は落ち着かない様子で手脚を動かしたり首を捻ったりを繰り返す。



これが上手くいけば閉ざされた生存の道に希望が持てる。

谷底に落とされた皆の士気を高めることが出来る。

しかし、失敗すれば八方塞がりの絶望となるだろう。



失敗する訳にはいかない。

全員を生きて帰さなければ、この部活はもう終わりだ。



早く始まって欲しいような、あと少し待って欲しいような、そんな裏腹に言うことを聞かない感情に嫌気がさし始めた時、あの歪な鐘の音がぎこちなく鳴り響いた。

空間が揺らぐ。

校舎が薄暗く不気味なベールに包まれる。






翼は一つ大きく深呼吸をしてから走り出した。