「牧野くん……私っ……どうしたらいい?」
大粒の涙を浮かべてようやく顔を上げると、翼を真っ直ぐに見つめた。
どうしたらいいかと訊かれれば、翼の出す答えは一つ。
「生き残ろう。」
「でも、私っ……!」
「大丈夫。みんなで協力し合えば、必ず逃げ切れる。皆川はそれだけの力を持ってる。」
「でも……苦しいの!生き残れたとしても、それが誰かを犠牲にした結果なら、私……きっと耐えられない!」
「それでも、俺は皆川に生き残って欲しいと思う。もう、誰も死んで欲しくない。だから頼むよ、最後まで生きるのを諦めないでくれ。」
冷静にだが、熱を込めた言葉でそう伝えると、響子は堪えるようにきっと唇を結んだ。
その顔には、まだあと少し残る葛藤のわだかまりが見える。
これ以上、長たらしく話すのは説教臭くなり彼女を萎縮させてしまうかと判断した翼は肩に軽く手を掛けると、
「生き残れよ。絶対に。」
それだけ言って、グラウンドを後にした。