「私…気づいちゃったの!今日、やられた人達……リレーのメンバーばかりだった……!」




「リレー……?」





オウム返しに呟いて、ハッとした。

どうして言われるまで気がつかなかったのか。

生存確認で、返事のなかった部員が多すぎて、数ばかりに気を取られてしまっていた。

よくよく紐解いて見れば、男女ともに大会で特に好成績を残していたリレーのメンバーの殆どがやられていた。

本当に、まるで狙いすましたかのように。





「女子なんかみんなそう!彩ちゃんも、愛美ちゃんも、志穂ちゃんも……みんなそうなの!きっと…次は私も狙われる!私…わたし……っ!」




堰を切ったかのように溢れて止まない涙と、嗚咽が邪魔をして言葉がなかなか出てこない。





「怖い……死にたくない……!だから、みんなを巻き込んだの!私が…助かりたいから……!ちょっとでも……生き残れる可能性があるなら!」





翼は複雑な気持ちで耳を傾けていた。



皆川の気持ちは痛い程わかる。


良い事もしたいけど、結局最後は自分が一番大切で、周りの犠牲も厭わない。

でも、そんなどす黒い感情を心に閉じ込めていられるほど、悪人にもなり切れない。

そんな葛藤が、彼女にもあるのだろう。