「協力って……どうするの?」





恐る恐るそう言ったのは響子だ。

翼は、少し考える素振りをしてから、ゆっくりと話し始めた。





「前にやってた練習メニューで、5分ラップってあったよな。」




「5分で何回も同じ距離走るあれだろ?それがなんだよ?」




「その時のスピード……大体でいいけど、皆覚えてるか?」




問いかければ、全員が頷くかあぁ、と小さく答えた。

鬼城が就任する前に、特に長距離選手は何度も繰り返して行った練習だ。

全員の身体に、その感覚が刻み込まれている。





「よし。それなら、大丈夫だ。」





半分は自身に言い聞かせる様に言うと、これは提案なんだが、と念の為前置きしてから翼は続けた。





「鬼ごっこのスタート地点を等間隔になるように決めておくんだ。そして、そこから全員が同じスピードで校舎を走る。で、どこかで鬼に出くわしたとする。たぶん、夕方の練習も三体で襲って来るだろう。」




皆、静かに話を聞き、口を挟む者はいない。

何か一つでも間違えれば不安を煽る事になりそうな空気を感じ、翼はより慎重にゆっくりと話した。