既に殆どの部員が集まっており、鬼城は黒い帳簿を開いていた。
「遅い!早くしろ!」
遅れて来た翼を見つけると、肩の傷など一切気にも留めずにそう言い放ち苛立ちを顕にした。
後ろを付いて来ていた颯太だけは小走りで駆け寄るが、そのまま歩く翼に聞こえるように舌打ちをする。
何か小言が始まるかと思ったが、機嫌は悪くないのか、それだけに留まった。
そうして、いつもの点呼を始めた。
「生存確認をとる。呼ばれたら返事をしろ。」
呼ばれていく名前と返事の数、それを耳が追う度に部員全員がどんどん青ざめていった。
その中でも淡々と生存確認はとられ、最後に鬼城は帳簿を上から下へと眺めると、発表した。
「以上、今日の生存人数は……21人。内、女子5人、男子16人だ。以上!解散!」
ピシャリと言い断つと、鬼城は満足気にグラウンドを後にした。
久しぶりの脱落者の増加と、その現実を叩きつけられた生徒達の顔を見る事が出来たのだ。
鬼城の心は幸福感に満ちていた。
反対に、部員達は朝練の一時間だけで9人もの脱落者が出た事実を受け止めきれずに、ほとんどが地面に足が縫い付けられたかの様に呆然と立ち尽くしていた。
鬼が三体に増えた時だってここまでは無かった。
さらに、最近は脱落者が殆どいない事が続いていたのだ。
何が起こったのか余計に信じられないでいて当然である。


