まるで、夢の中の様だ。






力を入れている筈なのに、手脚がそれに伴った動きをしてくれない。

走りたいのに走れない。

気持ちばかりが焦り、前のめりの姿勢になっている事は解っているのだが、それを直すことすら出来ずに、只もがく。


自分の意思とは別の何か、それこそ操り人形の糸を操る誰かが居るのではないかという程にフォームも呼吸もてんでバラバラだ。





このままじゃ、すぐ掴まる!




解っている。


解っているが、焦れば焦るだけ足が縺れ、絡まり、躓く。

転んでしまえば、それこそ終わりだ。




だが、恐い、死にたくない、と思えば思うだけ、何もかもが上手くいかなくなるのであった。






鬼の息遣いが徐々に近づいてくるのが解る。

血なまぐさい息が今にも後ろ髪に掛かるのではないか、あの鋭い爪がこの瞬間にも首に回るのではないか。

想像すればする程枷は重くなり、身体にのしかかった恐怖に強ばっていくのに、そんな考えが次々に湧き出てくる。



もう、自分の意思ではどうしようもない。

ただひたすらに、手足を動かすしか出来ないでいた。