校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下の角を曲がる直前。

違和感を逸早く感じ取ったのは嗅覚だった。




血腥い、あの鉄を含んだ独特の臭いが鼻腔を掠めた。


嫌な予感がするが、足は既に一歩踏み込んでしまっている。






ーー……グァッグルグルル






更に追い討ちを掛けるように、あの独特な唸り声が鼓膜を揺らした。

しかし、もう十分にこの先にあれが居るのは明確なのに、足は無意識にもう一歩を踏み出してしまう。




角を曲がり切った体は、嗅覚、聴覚の確信を視覚によって完結させた。

そして、その結果に全身の毛が逆立った。








鬼が三体で一人の部員を襲っていたのだ。






ある一体は爪で引き裂き、ある一体は牙で食い千切り、ある一体は今まさにどこかの部位を喉を鳴らして飲み込んでいる所であった。







……やばい。



やばい、やばい!





やばいやばいやばいやばいやばいやばい!!!








今までにない強さの警告音が頭に鳴り響いた。

ガンガンと打ち鳴らす警告は、馬鹿の一つ覚えのように同じ言葉だ。

それ以外、何も入って来ない。

そんな余裕などない。


強大な力に押さえつけられたかのように足は竦み、渡り廊下の入口に縫い付けられ、微動だにできない。





ただただ、恐怖が全身を走り回っていた。