いつも通り教室前の廊下に向かい、いつもの様に脚に十字をきり、あの忌々しい笛の音を待つ。


30分の短縮練習だろうと、大会当日だろうとそれは変わらない。

むしろ、変えないことが大切である。



100%の力を引き出すには、いつも通りが一番だというのが翼の考えだ。

何か一つでも変えようものなら、その綻びから足を取られる。







ピィーーー!







空気を裂く、甲高い音に顔を顰めた。


そして、慎重に、体が覚えているリズムを崩さない様に、心を冷たくして翼は走り出した。