「牧野くんの為だもん!かぁ……。いいねぇ〜。青春だねぇ〜。」
「なんだよ。」
「いやいや。俺がいる事なんて後半すっかり忘れてたよなぁ絶対。」
「そうか?」
「そうだって。じゃなきゃ、牧野くんのお陰だよ、なんて言って甘〜い空気なんて作んねぇよ。」
「なに言ってんだか。それより、明日の地区予選。」
そこまで言うと、流石の颯太もピンと背筋を伸ばした。
「あぁ。分かってるよ。絶対勝つ!……で、目指すは都大会優勝だ!」
握った拳に力を込めて意気込むのを見て、翼は静かに頷いた。
例の褒美が何であろうと、やってみる価値はある。
鬼城が就任してから初めて与えられたチャンスだ。
これを逃しては未来はないと、そんな気がした。
「このチャンス、必ず掴んでやる。」