「牧野くん!!」



叫ぶような声に呼ばれてグラウンドを振り返れば、響子が目に涙を浮かべながら走って来ていた。




「よかった!笛がなってもグラウンドに居なくて、探しに行った遠藤くんも戻って来ないし、鬼城コーチの発表では男子が3人減ってて……!それで、もしかしたらって!!」




そこまで一気に捲し立てると、溜めていた涙がポロリと零れ落ちた。




「悪い。心配かけたな……。」




「ううん……無事でよかった……。」




「うちのエースがそんな簡単にくたばるかってなぁ!」




「うん。そうだね、うちのエースだもんね。ごめんなさい、びっくりして……気が動転してた。」




落ち着きを取り戻したようで、涙の跡を残しながらも響子は笑った。





「皆川、男子が3人減ったって……。」




「うん……。女子が10人、男子が20人になってたの。」



「そうか……。」




男子3人の中の1人を思い浮かべて、翼は胸がチクリと痛んだ。

あぁは言っても、この傷を乗り越えるのにはまだまだ掛かりそうだ。