「俺はヒーローでもなんでもない、ただの人間だ。でも、翔を助けたかった……。」
「翼……お前は強いよ。」
「でも、まだ自分一人だけしか守れないちっぽけな力だ。もっと、強くなりたい……!俺はこれからも、生きて、強くなる!」
そう言って唇を噛み締めて拳を握る翼に、颯太はポンッと軽い調子で肩を叩いた。
「調子、戻ってきたな!」
「あぁ、ありがとな。」
「颯太さまさまだな!」
そう言うと、すっかりいつものお調子者モードに戻ったようで、にっかりと笑った。
「そうだな。」
思わず上がった口角に、自分でも驚いた。
しかし、一度口を固く結んで、でも……と続けた。
「俺は俺のした事から逃げたくはない。だから、背負ってく。これから先も忘れない。それが、今の俺に出来る唯一の報いだ。」
「そっか……。まぁ、気負いすぎんなよ?」
「わかってる。根本は揺らがないさ。俺は生きる。なにがなんでも……だ。」
「おう!俺もだ!」
そして、いつかの帰り道の様にお互いの拳をガッチリと当て合わせると、あの日と同じか、それ以上の決意と希望が沸き上がるのを感じた。