ビリリと電気のような痛みが腕に走る。

その痛みに、翼の片手が思わず手すりから外れた。

相棒を亡くした命綱は支えきることが出来ず、徐々に翼の手がずり落ちていく。



「っ!く…そう!」



残った片腕は翼の全体重を担い、筋骨が軋み、血管は流れを早めて浮き上がっていた。

掌から指の付け根へ…

指の付け根から指の先へ…

そして…



「…あっ!」



最後に残った人差し指が遂に手すりから、外れた。

生に縋る無意識から爪を立てたが、鉄を引っ掻く嫌な音を奏でる効果しか生まれず、寧ろ、痛みと共に手すりに爪を剥ぎ取られてしまった。

溢れ出す人差し指の血がポタリ、ポタリと落ちていく先。

翼の落ちていく先。

そこに待ち構えるのは、



「グッグルルー…」



歓喜に満ちたように喉を震わせる、鬼。



…ーやるしかないのか。



翼は、諦めと覚悟で瞬時に自分の心を縛った。