翼が黙り込んだのを自身の勝利と取ったのか、翔はその強欲に自信を付ける。



「俺は間違ってねぇ!だからよぉ、翼。」



翔の声が名を呼ぶ所で急に柔らかくなった事に違和感を覚え、翼は思考を停止する。

そして、ハッと気付いた時には遅かった。

もう、あの螺旋階段まで来ているではないか…。



「お前も俺の為に死んでくれよ。」



次の瞬間には、翼は翔にドンと押される。

スピードの乗った勢いを急に止める事など不可能で、慣性の法則に従い、翼の体は螺旋階段へと吸い込まれる。




「ぐぁっぐるるー…」




耳の鼓膜を、あの薄気味悪い声が揺らした。




―やはり、今日もいたのか…!




奥歯を噛み締める。



「じゃあな、翼。」



翔の冷めた声を背中に受け、翼は頭から落ちていく。

ガチャンという音で、翔が扉を閉めて出て行ったことを理解すると、翼は覚悟を決め、鬼に集中する。


まずは、落ち行く自分の身体をどうにかしなければ…