「いや?別に何も?」
何食わぬ顔でそう答えるが、翔は半信半疑の様子だ。
「あの後、颯太となんも喋らなかったのか?」
「颯太は酷く衰弱してた。喋れる状態じゃなかったさ。」
「ほんとか?」
うたぐり深く翼を見る翔。
無理もない。
颯太は普段から翼と仲が良い。
いち早く相談する筈、という考えに及ぶの至極当然である。
「おいおい、どうしたんだよ?そんなに俺達の仲が気になるのか?」
冗談めかした調子で笑うと、
「いや、別にんな訳じゃ……いや、そうか…。ならいいんだ。」
と、歯切れが悪くだが、翼の言葉を信じたらしかった。
どうにか切り抜けられた第一関門。
翼は、一呼吸おくと、本題である第二段階へと入る。
「そういえば、最近タイムを測る機会がないよな。」
何気ない口調で言うと、まだ少し警戒の念が伺える翔が、あぁ、と短い返事をする。
「俺達、ちゃんと成長してるんだろうか?」
バタンとロッカーを閉める。
前フリはあらかた大丈夫。
ここからが重要だ。


