「心配すんな」 『なにがぁ…』 「あの男、俺が絶対見つけてやるから」 『……できるの?そんなこと』 「できるの?じゃなくて、やるんだよ」 くぐもった声が胸元で響く。 頭を軽く、ふたつ叩くと、杏奈はやっと顔を上げて、にっこり笑った。 久しぶりに見た。笑った顔。 やっぱりこいつには笑顔が似合うと思う。ありふれた言葉だけど。