今、おかしな事が起きてる。
なんでかは分からない。だって、僕は何もしてないし、何も言ってないから。
それなのに、僕の目の前にいる男はいきなり
『お前に惚れた!!』
とか言って、いきなりキスをしてきた。
「・・・」
しかも・・・こんな真っ昼間に学校の中庭でこんな事してる僕らはもちろん注目の的。
僕は目の前の男を突き放し、
「ねぇ・・・君、何がやりたいの?」
質問した。
「・・・ん~~?お前に惚れたからキスした」
男は平然とした顔で返した。
「僕の質問の答えになってない・・・まぁ、いいや。なんで僕に惚れたの?って聞いていい?」
この男は見る限り、バカだろうから簡単な質問をしないと分からないのだろう。
「え?惚れた理由?いや・・・それは・・・」
男は恥ずかしそうに頬を紅く染め、口をつぐんだ。
「嫌ならいいよ。僕、興味ないし・・・」
「ちょっ!待っ!嫌じゃない!!嫌じゃない!!言うから!!」
男は去ろうとする僕を必死に止めた。
「じゃぁ、何?」
僕が問うと男は恥ずかしそうに告げた。
「ほ、細くて、すごい髪がキレーで・・・お、女みたい・・・」
「ごめんだけど、僕は男だから」
「いや!!いいんだ!!好きなんだ!!本気で!!」
また去ろうとする僕を大声で引き止める男。
僕はため息をついた。
「君が良くても、僕が興味なかったら意味がないんじゃない?」
「あ、そっか。なら・・・・・・俺に興味を持たせる!!」
信じられない一言だった。
「プッ、君・・・面白いね。初めてだよ・・・。名前は?」
「お、俺は!井川 洋祐(イガワ ヨウスケ)!!」
井川と言う男は嬉しそうに答えた。
「井川君ね。僕は苑田 棗(ソノダ ナツメ)。じゃぁ、僕は行くよ、また会えるといいね。」
僕は軽く手を上げるとすぐにその場を離れた。
「変な人もいたもんだね」
校舎に入り、一人呟いた。