それは確かにユウカにとってはいい話だろう。

正直彼女のような人間ではなかなか正社員にしてくれるというちゃんとした企業はないだろうし。

大学にいって学歴を持っている私が言うと見下したように感じるかもしれないが、それが現実だ。

それに、ネットを使って面接の練習をして、必死で就職活動をしなければいけない私と違って、彼女はその人柄だけで信頼と社員の地位をもらえるのだから、どっちが良いとも言えない。

私だって就職決まるとは限らないしね。

「…うーん、まぁ、それならいいけど…でも、ひとつだけ問題があるんだ」

「何?」

「私も、身分証明できない」

私は笑った。