『プール掃除おわりー!!

みんな、ごくろーさん!
気をつけて帰れよー!!』


先生は私たちに声をかけると、『俺今から職員会議あるから、最後のやつ鍵しめといてー』と言い残し、足速に校舎へと戻って行った。




ぼんやりしていたら、いつの間にか他の人はみんな帰ってしまってた。




私と藤原創を除いて。





藤原創が気になって、私は彼の方を向く。



目が合った瞬間の彼の行動に、私は目を見開いた。







プールサイドの湿ったタイルの上で、彼は深々と土下座していた。




「えっ……!!??


ちょっ……何してるの…!!???」


藤原創が突然そんなことする意味が、私にはさっぱりわからなかった。




「ごめんッッ!!!」




誰もいなくなった放課後のプールに、藤原創の声が響く。



何を謝ってるの…?

悪いのは私なのに…

傷付けたのは私なのに……?



彼は額をタイルにくっつけたまま、動こうとしない。



「俺さ、バカだからさ、どうしたらいいかわかんなかったんだ…!」


「……え?」


「焦って、舞い上がって、知らない間に及川さん傷付けて、泣かして……



俺、サイテーだよなっ…!!



本当に、ごめんッッ!!!」




私は彼がなんのことを言ってるのか、やっぱりわからなかった。