雪玉。[冬]



AM01:00―

僕は眠りに就いていた。


枕元で鳴り響く携帯の受信音。
ディスプレイにはあなたの名前。

「もしもし」

『………』

「亜紀?亜紀でしょ?」

『健ちゃん…』

「あっ!…紀」
思わず大きな声を出してしまった。


『健ちゃん…私もう我慢できない。』

「なに?」

『会いたい…会いたいよ』

「僕もだよ。」

『会いたい…』
その言葉しか言わないあなたを僕は宥めようとした。

「僕も会いたいけど、今会ったらもっと会えなくなるよ。僕はだから今は我慢する。」

『…分かった…』
そう言って、あなたは電話を切った。